記憶

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「吉井くん!」 彼の顔や手は寒さでとても赤くなっていた。 「吉井くんどうして帰らないの? 家で…何かあったの?」 あたしは勇気を振り絞って聞いた。 実は彼に両親はいない。 彼が小さかった頃交通事故で亡くなったそうだ。 そして、彼は親戚中を渡り歩いたあと 祖父に引き取られた。 「ちがうよ。美咲先生に、用事があったんです」 あたしに? 「何?なんでも言ってみて…」 あたしはこの時彼から いや、こんな小さな子供から あんなことを言われるなんて思ってもみなかったんだ。
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