記憶

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冬の静けさと寒さで あたしの心臓はドキドキしていた。 「美咲先生っ」 そしてしばらくの沈黙の後、彼は勇気を振り絞ってこう言った。 「好きです。 俺と、 結婚してください。」 ──彼の突然の告白に、あたしは頭が真っ白になっていた。 えっと…… 冗談、だよね。 「ダメ…ですか?」 あたしが何も話さないでいると彼は泣きそうな顔と声で言った。 いや、ダメっていうか…ねぇ? 「俺のこと嫌いですか?」 そんなことない。 「いや、そんなことないよ。先生吉井くんもクラスのみんなも大好きだよ。 でもね、」 私は話を続けた 「先生は大人で、吉井くんはまだ子供でしょ? それに吉井くんモテるんだから先生みたいなオバサンより、クラスで可愛いことかいるじゃない。 南さんとか」
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