記憶

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さっきまであたしたちが話していた学生がおじさんを壁に押し付けて、何か言っていた。 あれって───。 「美咲先生、あれってカツアゲですよね? 北高の生徒でもするんだ… 見えないフリして行っちゃいましょう」 優ちゃんはヒソヒソ声で言ってきた。 見えてないフリ───? あたしは仮にも教師で、人を教える立場にある。 だから見て見ぬふりなんて できない。 「ちょっと何してるのよ! やめなさい」 あたしは大声でその学生に近づいていった。 「美咲せんせぇ… もう行きましょうよ…」 背中から優ちゃんの声が聞こえたけどそんなの関係ない。 悪いものは悪いんだから。
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