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───9年前 冬
「先生っ、美咲先生っ!」
元気な声とともに小さな男の子がかけ寄ってくる。
「どうしたの?吉井くん」
あの頃のあたしはまだ教師になって1年にも満たない、24歳の新米教師だった。
「先生、今日の放課後時間ありますか?」
今日の放課後──
授業で分からないところでもあったのかな?
「よし、いいよ
じゃあ終礼が終わったら教室に残っててくれる?」
あたしがそう言うと男の子の顔は、ぱぁっと明るくなった。
「わかりました。約束ですよ!」
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