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総司の姿を目で追う麗は、桶に手拭いをつけたが、水が余波を起こす様子を見つめていた。
……昔はこんなんじゃなかったのに……
【宗次郎はなにになりたいの??】
変に壁がある……
手拭いを絞りながらポチャンと水滴が桶の中に落ちれば、麗は目を細めた。
「すみません……総司君はいますか?麗さん」
「お菊さん」
麗の元に寄ってきた女性は軽く頭を下げた。
お菊とは試衛館の近くに住む町娘だ。
ちょくちょく試衛館に足を運ばせては、門下生に差し入れを提供していた。
総司…あぁ…
麗は軽く頭を下げると、お菊を道場へ案内した。
道場の中は熱気がむんむんしている。
門下生が素振りから1対1の面打ちを繰り返す中、沖田は木刀を片手に、門下生の動きを歩きながら指導していた。
パシンと門下生の足を木刀で叩く沖田は、稽古になったら人が変わる。
「動きが遅い、手で木刀を振るな、体で振って下さい」
「はい、沖田先生。」
゙体??ってなんだ……″
門下生は沖田の発言に毎回、困っていた。
天性に恵まれた沖田は刀を持てば体が勝手に動くわけだが、門下生は普通の人物だ。
早く言えば沖田の言うことが、わけが分からなかった。
「分かってますか??……ううーん……。どうやったら伝わりますかね…違うんですよ」
総司は苛立ちながら、門下生の動きに首をヒネった。
分からないよね……そんな説明じゃあ……あっ
「総司!!お客さん!!」
「……麗」
麗の元に寄ってきた総司は、お菊に軽く頭を下げたが、お菊は総司と目を合わさず頭を下げた。
お菊さん…総司が…
麗は、お菊に軽く頭を下げた。
「私はこれで」
「えっ…麗…何故…「お菊さんは総司に用事があるの」
鈍感…鈍すぎる…
麗は総司の言葉を遮ると、また廊下の方へと歩いていった。
廊下に置く桶を手に持った麗は、裏の井戸に歩いていったが、井戸の近くで水を捨てた。
「麗!!総司が告白されてるぞ!!」
「早くこい!!見物に行くぞ!!」
バタバタ駆けて来たのは原田と藤堂だった。
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