――第一章――

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ダンッと鈍い音が道場の中に何度も響けば、麗は門下生の手を握りしめた。 「違う、切っ先がぶれすぎ。それに踏み込みも弱い」 鈍い音は麗が木刀を床についた音だ。 門下生の動きに目を光らせる麗は、身ぶり手ぶりで指導していた。 沖田の説明ではわけが分かっていない門下生に、麗が尻拭いのような形で指導していた。 その姿に藤堂や永倉は木刀を肩に置いた。 「毎回のこと、麗も師範代になればいいのに……。ぱっつあんも思うだろ」 「思ってもどうにもなんねぇだろ、素質があっても女じゃ師範代にはなれねぇ」 ぼそぼそと呟く二人だが、麗の姿に沖田は口を尖らせた。 「しゃしゃり」 役をとられ面白くない沖田は、休憩と一言発せば麗の元に寄った。 「久しぶりに打ち合いでもしませんか」 「なに、気にくわなかった??仕方ないでしょ、近藤さんに言われてるんだから」 「減らず口」 二人はフンと鼻で笑えば、木刀の切っ先を双方に向けた。 だが、途端に麗は懐をあさると、それを藤堂に渡した。 「持っておいて、誰かさんは私をのめすつもりだから……。」 「頑張れよー、麗」 麗は道場の真ん中で沖田と打ち合いを繰り返す中、藤堂はそれを握りしめた。 「ぱっつあん…俺、毎回思うんだけど、これって形見??」 「形見…形見になんのかな…」 「高級なもんだよな…これ」 「短刀だが、俺には高級かそうじゃねえかはわかんねえな」 藤堂はくるくるとそれを裏、表と見始めた。 それは、短刀だった。 短刀の鞘を抜く藤堂は、光に照らしたりと興味津々に刃の角度を変えた。 道場の真ん中では激しい打ち合いが繰り返されていたが、ダンッと強い踏み込みをかました沖田が、木刀の切っ先を麗の胸元ですん止めさせた。 「また腕をあげましたね」 麗は一つ舌打ちをすると、沖田の木刀を防ごうと、斜めに構えた木刀を床に下ろした。 「また負けた…三段突きには勝てないわ」 「太刀筋が読めない麗の刀もなかなかですよ」 二人は鼻で笑うと軽く頭を下げたが、周りに座る門下生は目が点の状態だった。 ゙人間の動きじゃない…″
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