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江戸から帰って来て数日後の事だった。
「あの…、姐さん…、ちょっと…」
うちが台所で朝食の準備をしていると、鉄ちゃんがチョイチョイと手招きしていた。
「どしたの?」
鉄ちゃんに導かれ裏口に行くと、目深に笠を被った男性が居た。
「……………」
「……………!!
鉄ちゃん、土方さん起こして来て」
「あ、はい!」
「…………お帰りなさい、斎藤さん」
鉄ちゃんが去った後、うちは斎藤さんに笑いかけた。
「…ああ…」
斎藤さんは眩しそうに目を細めた。
「…相変わ「帰って来たのか」
斎藤さんが何か言いかけた時、鉄ちゃんに起こされた土方さんがやって来た。
「……お久し振りです…」
「取り敢えず、話は朝飯の後だ。
丁度山崎も帰って来たからな」
「何や。バレとったんですか」
「わ!
山崎さん!お帰りなさい!」
斎藤さんの陰から、ヒョコッと山崎さんが顔を出した。
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