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「─もうっ!いつまで待たせるの!」
男の子らしい部屋で
そこにあるクッションに怒りをぶつけている女の子は美月。
「……なんて、嬉しいなくせに。」
そう言いながらも
怒っていたはずが嬉しそうな表情をして、さっきまでぶつけていたクッションをぎゅうと抱きしめる
美月はこの部屋の主である幼なじみに呼ばれて来たけれど、その幼なじみは出かけていた。
その時、
──ガチャ
「っ!!」
部屋のドアが開いたので、美月は慌てて抱きしめていたクッションを置いて
怒ってるような表情に戻す
「美月、ごめん。遅くなって…怒ってるよな?」
ドアから
おそるおそると二人分のジュースとお菓子をのせてるお盆を持って、困ったような表情をしながら入ってきた
「当たり前でしょ!待たせておくなんて、何様よ。呼び出したの唯斗でしょ!」
そう入ってきたのは
この部屋の主である幼なじみだ。
美月は恥ずかしさから幼なじみに怒りをぶつけてしまう。
「ごめん。ちょっと先生に呼び出されちゃって」
「…っし、仕方ないわね。次は許さないから!」
子犬みたいな困った表情をした幼なじみにときめいてしまい、ふんとそう言った
美月は素直になれなくて、そういう態度を取ってしまうのだ
特に好きな人に対しては…
「(うう、またこんな態度とっちゃったよ……)」
そんな自分に美月は泣きそうになってしまう
幼なじみである唯斗に恋しているために恥ずかしくて素直になれないからだ
「うん、分かった。ありがとう」
そんな美月に唯斗は
にこっと笑ってそう言ってくれた
「……っ」
「(─…昔からそう。
いつだって、どんなに怒っていても笑ってくれる。
だから、この優しさに恋したんだ…)」
「美月?」
「そ、それで何の用なの?」
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