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早見:はは~ん。わかったぞライセー。
早見はニヤニヤし始めた。
早見:お前・・・恋に落ちたな?
風神:断じて違う。
早見:まあ春色は可愛いし人気あるもんなー。一目惚れしたっておかしくねえよ。
風神:え?お前あの女子知ってんの?
早見:ああ。中学の時同じクラスだったからな。名前は春色理奈(はるいろりな)。ちょっと気は強いが、モテるんだぜー。
風神:ふーん。
早見:でも春色が男と付き合ってるところは見たことないな。男に興味なさそうだしなー。
よく見ると、春色は右手に包帯を巻いているようだった。
風神:あの右手はどうしたんだろ?
早見:ああ、前に直接聞いてみたけど、小学生の時に火傷を負って以来、ずっと巻いてるらしいぞ。
風神:え、4年以上ずっと?
早見:そう。
風神:火傷の後遺症って4年以上も残るもんなのか?
早見:さあな。火傷がよっぽど酷かったんじゃねーの?
風神:そうか・・・。
俺は自分の右手の「I」の文字を見つめた。
風神:(なんだ・・・?よくわからないけど、この右手が春色に反応したのは確かだ・・・。)
俺は再び春色の右手に目を移した。
風神:(まさかアイツも、俺と同じ・・・。)
すると、早見がもう1度俺の肩をポンと叩いた。
早見:まあ険しい道のりだろうが、頑張れよ!
風神:・・・お前は何か勘違いをしている。
それからはクラス全員の自己紹介や担任からこれからの行事予定の説明などが行われ、高2の1日目の学校はあっという間に終わった。
早見:ライセー午後から暇だろ?一緒にゲーセンでも行こうぜ!
風神:あーワリィ。これからバイトあるんだよ。
俺は現在、ファーストフードの店でバイトをしている。
早見:げっ、またバイトか。お前も大変だな・・・。
風神:一人暮らしだからな。じゃあまた明日。
早見:おう。頑張れよ。バイトも、恋も。
風神:だから違うって・・・。
早見と別れ、俺は近くのバイト先まで歩いて行った。
だが、その帰り道にあんなことが起こるなんて、この時は考えてもいなかった・・・。
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