鳥のさえずり

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もう、こんな役目はしたくないと思ってみても仕様がなくて、これも自業自得なのかと思えば目頭が熱くなった。 去年の夏に親父を包丁で刺して以来、俺は少年鑑別所へ送致され三週間の拘留生活を経て、親父の本宅がある神戸に預けられたが、そこも逃げ出し、その先が事件以来同じ神戸の御影にあった別宅を追い出されていたお袋のおんぼろアパートだった。 親父に追い出されたお袋は東京に戻り、それ以来親父からせびれるだけの金をせびる覚悟を決めたらしい。金が無くなると、こうなったのはすべてあんたのせいなんだからといっては、親父への無心の電話を俺にさせるのだった。 俺は、いつまでも親父を刺したことを後悔はしていない。今もって憎んでいるのだから。だが、食うためには働かなくてはならない。お金が必要なんだ。中学生ではバイトもできはしない。だから仕方がないんだ。やる時にはやらなきゃと心に決めて、胸ポケットにある生徒手帳を抜き取った。
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