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「こ、これでいいのか?」
「うむ……その調子だ。
……もうちょっと強めに
縛っても構わないぞ?」
「な、何言ってんだ馬鹿!
これ以上キツくしたら
さすがにマズいだろ!?
跡とか残りかねないぞ!?」
「レイ……。私は…………
構わない、と言った筈だ」
「も、桃……!! お前……!」
……えー、ゴホン。
……よし。
何か聞こえてたか、皆?
いや、何も聞こえてないよな。
ここはあえて、あえてだ。
現在俺が置かれている状況は
この際一旦あっちいけ、でだ。
物語の始まりには欠かせない、
自己紹介、ってやつから
始めようじゃないか。
……初めまして。皆さん。
俺は、
等々力天面遥(トドロキ アマモヨウ)。
………………。
何だよその哀れんだ目は。
……え、両親が嫌いかって?
何で急にそんなこと聞くんだ?
素敵な名前じゃないか
個性的だし他にはないし、
字面が変だし変換する時は
「てんめんはるか」って
入れないと出ないし
DQNネームみたいだし
カッコいいよなハハハ
そう正解 大 嫌 い だ よ。
どうせ天候から名前を取るなら
『太陽』とか『青空』とか
そういうプラスの言葉から
取るべきなんじゃないのか?
何で息子の名前に『じっとりと
した子になって下さい』って
願い込めてんだよ。
ちなみにその切実な願いが
叶ったのかどうかは、
この後の自己紹介を
引き続き聞いていてくれれば
分かるようになってるからな。
今年で17歳になった俺は、
来成(ライセイ)高校という地元の
公立高校に通っている。
期待を裏切るようで悪いが、
友達は多いぞ。
なんせあだ名で呼ばれるほど
親しまれているからな。
そんな友人達からは、
『空気』『影』『ハドソン』と
親しみを込めて呼ばれている。
……すまん。友達、という
部分を若干訂正させてくれ。
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