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クラスにラッパーがいる
可能性の低さをまったく考慮に
入れなかったあの頃の
自分を呪いたい。
とにかく、俺は自ら提唱した
愛称で呼ばせ、そしてそれを
無視し続けるというなかなかの
暴挙を平然とやってのけた。
奇人、等々力天面遥
誕生の瞬間である。
そりゃ『空気』と呼ばれても
文句は言えない。
『影』と呼ばれたって
何も反論できない。
だって空気や影は、
話しかけても返答しないから。
俺そのものじゃないか。
……何で『ハドソン』?
とにもかくにも、
俺は学校じゃ相当アウェー。
心の中なんてもう
いつものように雨模様だよ。
そんな環境に生きていたから、
俺はいつの間にか人間関係に
対して、とても閉鎖的な人間に
なってしまっていた。
必要最低限、
生きていければ十分。
友達なんか、
いなくて事足りるんだ。
……つまりあれだ。
じっとりしてしまった。
両親の思惑通りに、
しめった人間なんだ俺は。
毎日のように、
心に降り続ける雨。
すっかり湿り気を帯びた感情は
自分自身で孤独を日に日に
促進させていた。
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