だからなにがしたい。

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とりあえず『実験』について。 そこから説明していこう。 桃はいやに国語が好きだ。 その中でも、特に言語の分野が 大好きな変態である。 いや、 好きに「なった」変態……か。 言語とは、英訳するところの ランゲージ、というヤツだ。 桃はいつも、何かと「実験」と 称して俺に半ば強引に 協力を求めてくるんだが……。 その内容が若干、 常人とズレている。 というより、 そもそも言語の研究なのに 実験をしている時点で かなりズレてはいるが。 にしても、「実験」の内容は 相当に常人の思考を超越した 訳が分からないものばかりだ。 それは、今回の実験もまた 変わりない。 実験名 『人はどのくらい過激な状況に  立たされた時、正常な  言語能力を失うのか』。 それを聞いた時点で色々と いやな予感がしたので、 俺は異論を唱えた。 これって、 どちらかと言えば脳科学の 分野なんじゃないか? と。 しかし、残念な 幼馴染みいわく、 言語というものは、 脳と深く結びついている。 その結び目がとても難解であり 複雑である……らしい。 まあ、要するに脳科学と 言語学というのは似たような ものなんだろうな。 中断させようとしたのに、 理論的にうまいこと 言いくるめられてしまった。 「有り難う、レイ。 今回も色々なサンプルが 手に入った。うん」 『これ』が、 桃の普段の喋り方。 いやにかしこまったような、 上から目線のような謎の口調。 因みに『レイ』は桃が 俺を呼ぶ時の名称。 天面遥……雨模様だから、 レイン。そこから取って、 『レイ』と呼んでいるらしい。 なかなかしゃれている。
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