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俺は素早く帰り支度を行う。
そろそろ門限だ……帰らねば。
「おい待て……スルーは
ないだろうスルーは」
「いやほら、門限近いし」
「門限……?
あぁ、そういえばレイは
男の子のくせに、
そんなものがあったっけな」
「ああ。しかも守らないと
飯抜きになるシステムだ」
「厳しいな……」
無論、何の理由もなく
門限が設定されている
わけではない。
--ここ最近、俺たちが住む
この来成市では、無差別連続
殺人事件が起こっている。
昨日もまた、
一人殺されたらしい。
確かこれで十六人目だ。
被害者は、若い男性から
年輩のお婆さんまで……
実に幅広く、統一性がない。
犯人は殺す人間を選んでは
いないらしい。
「……ごはんの代わりに
私を食べてったらどうだ?」
俺は素早く帰り支度を行う。
そろそろ門限だ……帰らねば。
「同じナレーションを
使い回すんじゃない……。
そんなに嫌なのか?」
「そんなに嫌じゃなかったら
すでに抱いてるし食ってる」
「やん強引」
「逆だ」
そうこうしてるうちに、
帰り支度は済んでいた。
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