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そうはいっても、気の抜ける時間はあまり長くは続かないわけで、冒頭に戻る。
「殿下はどうしてこんな何の取柄もない庶民を選ばれたのかしら」
「解せませんわ」
「私のほうが容姿も身分も釣り合うというものを」
「あら、抜け駆けでしてよ」
(めんどい…暇人なのねこの人たち)
上から水をかけられたり、足を踏まれたり、口を開けば罵詈雑言。
階段の上から押された時は、少し焦った。(下で騎士の人が受け止めてくれた)
仮にも王子の妻を前に、まるで始めから存在に気付かなかったかのように振る舞い、呆れてものも言えない。
こんなんがご令嬢とは、世も末だ。
そうして途方もないことを考えていると、必ず現れる人がいる。
「やあお姫様方、本日もご足労痛み入ります。」
「「「「きゃぁあああ~ランシール様」」」」
そう、以前私が階段の上から突き落とされた時助けてくれた騎士だ。
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