出会い

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【ユカ】としばらく話しているうちにだんだんと打ち解け、緊張も和らいでいった。 いまのやりとりも、メールをずっと通わせていたおかげだろう。 しばらく喋った後、【ユカ】が 「あのね・・・わたし、【ユカ】じゃなくて"ユキ"っていうの・・・」 突然だったが、あまり驚きはしなかった。 当然のことのようにすんなり入ってきた。 そうか、この子も・・・ そう思い、俺も自分の本名を伝えた。 俺の名前は"カズキ"普通の名前だ。 それからは "ユキ"と"カズキ" そう呼び合った。 すこし恥じらいもあったが、なんだか"ユキ"がすぐそばに感じることが出来た。 一時間ちょっと話したあと、俺らはゲームセンターにいった。 そう、ここは、俺の戦場! 俺が俺になる場所! そう意気込む俺の袖を"ユキ"が引っ張る。 「ぉお?」 なんだこのシュチュエーション! 「あれ、とれる?」 "ユキ"が指さしたのは、UFOキャッチャーのプライズ。 しろいフワフワのウサギ。 ―――え? いや、これ、かわいいの? 半分笑いそうになりながらも 首を30度回すと目に入る"ユキ"の笑顔。 俺のなにかが弾けたきがした。 …やるか。 200円を投入して狙いをさだめる。 アームがウサギの頭をもちあげる。 キタッ! ボトッ。 鈍い音を立ててウサギがアームから抜ける。 「ああ!おしい!」 "ユキ"が悔しがる。 俺はもう一度200円を投入する。 「がんばって!」 まかせろ! ココロの中でそう叫ぶ俺が主人公だ! アームがウサギに近づく。 クレーンがウサギを持ち上げ・・・ ガコン! よっしゃ! おもいきり拳を握る 少し震える手を隠しながら。 「はい。これ。」 "ユキ"がなにも言わず満面の笑みを浮かべる。 「ありがとう!」 たった一言。 俺の意識は大気圏を突破した。 いや、突破しないほうがおかしい。 完璧に意識はイスカンダルへ向かっていた。
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