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くるか？
男は少し後ろにさがると、笑いながら走りだした
「ギャハハハハハハハ」
「っ！？」
俺の鼓膜を食いちぎるような、突然の笑い声。
そして狂気に満ちた顔。
その両方に少しびびり、俺は目を細めた。
それと同時に、男の足が空を切った。
マジで飛びやがった！
カメラが男を追い掛ける。
上下に激しく揺れるカメラ
ドォォーン！！ドォン…ドォォン
激しい衝撃音を2、3度響かせ、地面に赤くへばりついた男の姿が映る。
いや、男といえるのか？うまく形容できない
人とは思えぬ"ｿﾚ"は、びくびくと痙攣していたが、やがて動かなくなった。
「…つぉ…」思わず声が漏れる。
うわぁ…飛び降りとか初めて見た…。
人が死んだ。
見たくて見れるものでもないし、見たくもない。
おまけに俺は引きこもりだ。
いったん水を飲む。
よく考えれば。いや、普通に考えても
自殺の動画なんて流していいわけがない。
これは通報か？いいや、まて、これはただの動画。
しかも、それを撮影？
そうさ
馬鹿馬鹿しい。
俺はいったいなにを考えてんだか。
「あっほくさ。」
どうせ自殺を煽るフィクションだと思い。一笑してやった。
ぐるナイなんかいい。
このサイトをみてやる。
そうして、一応他の動画、画像も見てみたが、フィクションにしては手が凝っていたものばかり。
「………」
どうも本物らしい。
もう一つ
それらの動画にはコメントがあった。
「【ｸﾛ】さんおめでとう！」
「【ｸﾛ】さんだけずりぃよ…今逝きます。」
など、自殺を称賛するコメントばかだった。
狂ってやがる…こいつら…
人が死んで讃えるだなんて…人外すぎる…。
他のリンクにある『掲示板』でも
「次の世界へ逝く人募集【ｶﾞｸﾔ】」や「楽に死にたい。【ＢＥ】」
といった書き込みが嵐のようにある。
この光景に寒気を覚えながらも
なにを思ったか俺は
「ｶｽどもが、救いようがねぇな…【ﾘｮｳ】」
と、書き込んだ。
俺の名前は【ﾘｮｳ】本名でもないし、なんとなくだ。
もちろん。
こんな事を書き込んだら荒れる。
確実に荒れる。
なんせ相手は
気の狂った、狂騒集団。
だけども、自分の胸糞悪さを少しでも晴らすために書き込みをした。
荒らしてやろう。
俺はただの遊び感覚で楽しんでいた。
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