~解けない謎~

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「おう、はえーな」 ズカズカと昴の隣へと歩みを進めてきたこの男はこの町の警察官でもあり昴の古き友でもある岩佐 礼である。警察官という肩書きとは裏腹になにか裏では危ない橋を渡っているのではないかと考えさせるほどの悪人顔だったりする。 そんな彼を横目で見ながら昴は煙草の煙を燻らした後、口を開いた。 「呼び出しといておせえよ馬鹿―…」 そんな昴の言葉には耳を傾けず礼は早々と喫茶店の店員に珈琲を頼んでいた。 相変わらずだな そう昴は心の中で呟き、踵を返した。 「で、話ってのは?」 最初に沈黙を破ったのは昴だ。 「おう、それがな―…」 「…待て。」 普段あまり喋ることのない無口な昴に話を遮られたことによっぽど驚いたのだろう、礼は一重で細い目を真ん丸にし、口をパクパクとさせている どうも昴にはこれから礼が話す内容が分かっているようだ。それもそのはずである。大体の話は耳に入ってくるのだ。何せ、こんなにも狭い町である。噂という噂や事件のことは大概は耳に入ってくるのである。 「礼、俺はなあ―…事件の内容だけじゃなく犯人までしってるんだぜ―…?」 「……なっ……!?」 さらに礼が目を大きく見開く 「犯人はなあ―…犯人はな…」 静寂な時が流れる 二人は目を見つめ合ったまま微動だにしない 次に沈黙を破ったのは礼だった。 「犯人は―…?」 ただならぬ緊張が二人を襲う。ゴクリと唾を飲む音がした。恐らく礼であろう。張り巡らされた糸が見えるかのように二人は動かない。
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