第一話:正義の味方になりなそい

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「そういえばこの色って特性で決まってるって言ってなかったっけ? 特性とやら、試してみる?」 ピンクの提案に二人は賛同する。 「私の特性は瞬間移動だったハズだ」 「よし、ペパ……じゃなかった、ブルー隊員! まずはやって見せてくれ」 ブラックの催促に頷いたブルーは意識を集中させ、全身に力を込めて踏ん張る。 「ォオオオ……ッ!」 「とりあえずじっちゃんのサングラスつけてきて」 「いやそれはダメだろ」 ピンクの注文は大人の事情で却下された。なぜブラックが却下したのかは推して知るべし。 「あのじいさん最初は効果が弱い、みたいなこと言ってたよな?」 ブラックが独り言のように呟く。 確かに老人は言った。 『笑ってしまうほど貧弱』と。 ブラックとピンクが見守る中、ブルーの身体の周りに青いオーラのような光が発生した。 「すげぇ……」 「マジで!?」 二人の驚きの中、ブルーの身体が消える。 一瞬後。 「うははははは」 「キャハハハハ」 二人の驚きは爆笑に変わっていた。 ブルーは確かに瞬間移動していた。 一瞬消えて、移動していた。 総移動距離、およそ15cm。 「歩いた方がはえぇ!」 「無駄に集中!!」 黒とピンクの人は電柱を叩いていた。 「……まぁ、最初はこんなものだろう」 二人の笑いが治まるまで約三分かかったが、ブルーはあまり動じていなかった。 「じゃ、次はあたしね」 はいはーい、と言わんばかりにピンクが名乗り出る。 ピンクの特性はテレパシーだ。 「最初は貧弱、と老人は言われた。二人に同時に念を送る事は出来ないだろう」 そう切り出したブルーの提案は以下の方法だった。 まずピンクが何かを念じ、ブラックに送る。次に全く同じ思念をブルーに送る。 最後にピンク、ブラック、ブルーの順に答え合わせ。 「よーし、まかせろ~」 張り切ったピンクはブラックにテレパシーを送り始めた。 ブラックに向けて指をピロピロやってる様子は、どちらかというと呪いでもかけてるように見える。 「ブッ! 今、脳内に直接響いた!」 ブラックがそう言った。なぜ噴き出したのかは不明だが、今度はブルーに呪い……ではなく思念を送る。 「……ブッ! ……なるほどな」 ブルーにも何か伝わったようだ。 彼も何かがウケたようだ。 ピンクには二人とも何がそんなに面白いのか、全く心当たりがなかった。
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