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ブラックは意識を集中しだした。
頭を抱え込んでいるが頭痛というわけではない。
「ん~」
さらにうずくまること30秒。
「ん~~」
『考える人』並の苦悩っぷりだ。
「ンンン……」
「ねぇ、まだ~?」
ピンクは待ちくたびれていた。
ブルーは腕組みしたままじっとブラックを見つめている。
「ンンン……ハッ!?」
ブラックが突然立ち上がった。
「何が見えたんだ?」
「明後日……」
明後日、何か起きるのだろうか。
これが当たれば次から事故や事件を未然に防いだり、被害を最小限に抑えたりすることが可能だ。
ヒーローとして十分役に立つ能力だ、とブルーは考察していた。
「天気は」
……天気。
ブルーとピンクはちょっとガッカリした。だが、二人の能力もそうだったように最初は大したことない。
天気がわかるだけでも成功といえる。
「天気か。やっぱり微妙な能力だね」
それでもピンクがちょっとつまらなそうにこぼす。
問題はここからであった。
「降水確率30%……だそうだ」
「……へ?」
「30%?」
未来を予知してなぜ30%という微妙な数値が出てきたのか。ピンクとブルーの頭の中にクエスチョンマークが現れた。
「情報が曖昧過ぎやしないか?」
ブルーには『だそうだ』が引っ掛かっていた。伝聞形。未来予知だから未来を見たハズなのでそこに不確定要素が入り込む隙はない。
「オレは確かに未来を見た」
ブラックの声は真剣だ。
「……明日の夕方のニュースでやる天気予報が見えたんだ」
しかも予報士は眉毛の濃いオッサンだったから微妙、などというどーでもいい追加説明。
「…………」
「…………」
二人とも何も言わなかった。
「……まぁ、いい暇つぶしにはなったわ」
ピンクが締めくくる。
ちょうどその時タクシーが到着し、奇特な老人が降りてきた。
レーダーを取りに帰るといっていたが、彼はシルバーのアタッシュケースを持っていた。
「よし、早速じゃがゴミアイテムの使い方から始めるぞい」
じいやは道端にアタッシュケースを置いて中身を取り出し始めた。
そんなことよりハイエナ団を早くなんとかしないといけないんじゃなかっただろうか。
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