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「ゴミアイテムて……なんかガラクタみたいな響きだな」
「リサイクルショップに売れそうよね」
ブラックとピンクは勝手なことを言っていた。
「えぇぃ、静まれーぃ!」
じいやは地べたに尻をつけたままアタッシュケースから腕時計のようなものを一つ取り出した。
「これがトリックレーダーじゃ」
前屈みで両膝に手をついてそれを上から覗き込む三人。
トリックレーダーの盤側面の、時計で表せば0時、3時、6時、9時の位置にそれぞれボタンがついていた。
「よいか? 上から時計回りに拡大、ライト点灯、縮小、万歩計になっておる」
最後の一つは絶対無駄な機能である。
「このレーダーには悪が×で表され、自分以外のゴミレンが〇で表示される」
仲間の位置も確認できるのは便利かもしれない。
じいやの説明は続く。
「そしてWが公衆トイレ、Tが東京タワー」
「いや、東京タワーはいらんだろ」
ブラックのツッコミにじいやがかみつく。
東京見物に東京タワーは外せぬ、スカイツリーが出来ようともこれだけは譲るわけにはいかん……などと熱く語りだした。
公衆トイレに誰もツッコまなかったのはなぜであろうか。
とにかく説明を終えたじい様が一人に一個ずつトリックレーダーを手渡した。
「すぐ近くだな」
左腕に装着したブルーが位置を確認した。ブルーのトリックレーダーが表示している縮尺は100mなので本当に近場だ。
「よっしゃ、じゃ行きますか!」
ピンクも気合いを入れる。
「初仕事……ってか」
ブラックは指を鳴らす。
初めはブルーだけかと思われていたが、今は三人ともやる気になったみたいだ。
「まぁ待ちなそい」
そのやる気に水を差す、KY老人。
「おじーちゃん、止めるなっ!」
「武器の使い方がまだじゃろりん?」
じゃろりん。
「武器?」
ブラックの質問にじい様が頷く。
「とりあえずブラックで実演しよかの」
じいやんはブラックのベルトのバックル(例のライダーチックなやつ)の真上についてる赤いボタンを押す。
ボタンは押し込み式になっていて、今押したため上方向にちょっとだけ出てきた。
「この出っ張りを右に倒すべし」
じじいはそれを自分で行わず、ブラックに促した。
ブラックがそれに従うと赤い風車が回転し始めた。
……この展開はまずくないですか?
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