第一話:正義の味方になりなそい

13/18
前へ
/118ページ
次へ
「ゴミアイテムて……なんかガラクタみたいな響きだな」 「リサイクルショップに売れそうよね」 ブラックとピンクは勝手なことを言っていた。 「えぇぃ、静まれーぃ!」 じいやは地べたに尻をつけたままアタッシュケースから腕時計のようなものを一つ取り出した。 「これがトリックレーダーじゃ」 前屈みで両膝に手をついてそれを上から覗き込む三人。 トリックレーダーの盤側面の、時計で表せば0時、3時、6時、9時の位置にそれぞれボタンがついていた。 「よいか? 上から時計回りに拡大、ライト点灯、縮小、万歩計になっておる」 最後の一つは絶対無駄な機能である。 「このレーダーには悪が×で表され、自分以外のゴミレンが〇で表示される」 仲間の位置も確認できるのは便利かもしれない。 じいやの説明は続く。 「そしてWが公衆トイレ、Tが東京タワー」 「いや、東京タワーはいらんだろ」 ブラックのツッコミにじいやがかみつく。 東京見物に東京タワーは外せぬ、スカイツリーが出来ようともこれだけは譲るわけにはいかん……などと熱く語りだした。 公衆トイレに誰もツッコまなかったのはなぜであろうか。 とにかく説明を終えたじい様が一人に一個ずつトリックレーダーを手渡した。 「すぐ近くだな」 左腕に装着したブルーが位置を確認した。ブルーのトリックレーダーが表示している縮尺は100mなので本当に近場だ。 「よっしゃ、じゃ行きますか!」 ピンクも気合いを入れる。 「初仕事……ってか」 ブラックは指を鳴らす。 初めはブルーだけかと思われていたが、今は三人ともやる気になったみたいだ。 「まぁ待ちなそい」 そのやる気に水を差す、KY老人。 「おじーちゃん、止めるなっ!」 「武器の使い方がまだじゃろりん?」 じゃろりん。 「武器?」 ブラックの質問にじい様が頷く。 「とりあえずブラックで実演しよかの」 じいやんはブラックのベルトのバックル(例のライダーチックなやつ)の真上についてる赤いボタンを押す。 ボタンは押し込み式になっていて、今押したため上方向にちょっとだけ出てきた。 「この出っ張りを右に倒すべし」 じじいはそれを自分で行わず、ブラックに促した。 ブラックがそれに従うと赤い風車が回転し始めた。 ……この展開はまずくないですか?image=408043673.jpg
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加