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武器が逃げる、など前代未聞である。
逃げた黄色い光がどんな武器になるのかは今のところ不明。
「とりあえず基本講座終わり」
じじいが終わらせた。
そしてそれっきり黙り込む。
ちょっとの間じじいの次の言葉を待っていた三人。
「本当にこれで終わりか?」
もっといろいろ説明すべきではないか。
例えばハイエナ団を倒したあとは警察に引き渡すのか、『改心しなさい』などと説教するだけなのか。
周辺に一般人のギャラリーがいたら避難させるべきだとか。
そういう段取り的な部分をブラックは聞きたかった。
しかし……
「終わり。早くハイエナ団を八つ裂きにしてきなそい」
じじいは平然とした顔で物騒なことを口走っただけ。
「や……八つ裂き?」
「とにかく行くしかないわ。藤原は方向音痴だからペパが先頭走って!」
困惑しているブラックをよそにピンクが仕切りだす。
どう見てもリーダーはピンクにしか思えない。
「ペパではない、ブルーだ」
「そうだ! オレもブラックだ。うっかりピンクめ」
「どっちでもいいじゃん!」
「いや、正体バレるだろ」
ブラックにとってはどっちでもよくはないらしい。
「別によくない?」
だれかに正体がバレてまずいことでもあるのか、とピンクが聞き返した。
ブラックは素で答える。
「街歩いてて『あ、ゴミレンの人だ』とか呼ばれたら恥ずかしくね?」
「…………正直すまんかった」
ピンクはおのれの過ちを認めた。
「よし、この×地点……これは駅前だな。行こう」
ブルーの呼びかけにピンクとブラックが頷いた。
ゴミレンジャーな三人は駅前にたどり着いた。
日曜の昼下がり。
休日を楽しむ人々の中に妙な連中がいた。
妙な連中といってもゴミレンジャーのことではない。(彼らも端から見れば怪しいが)
犬のような被り物をした人が3人。
皆同じ全身真っ白タイツ。
胸のゼッケンにハイエナ団と縦に明記されている。
油性マジックで手書きに違いない。
「どー考えても……ハイエナ団って……アレのことよね?」
ピンクは少し引いていた。
ハイエナ団と思しき(ていうか胸に明記してる)連中は駅の階段やエスカレーター、エレベーターの出口をあからさまに塞いでいた。
バスケのディフェンスの如く腰を落とし、両手を広げて街に出ようとする人の邪魔をしている。
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