第一話:正義の味方になりなそい

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「とりあえず明日以降予測される苦情についてだけど」 まりやんが切り出した『苦情』への対策というのが彼らの仕事である。 怪盗苦情対策部。 イベントの間隔が短いだの更新が遅いだのといった類いの苦情に、ユーザーを怒らせない程度に対応するのだ。時給800円。 「新しいシステムのイベント始めると無条件で苦情くるもんな」 「星座の時は凄かったですよね」 ペッパーズは遠い目をしていた。恐らく激務だったのだろう。 「あれはあれで一部には好評だったのよ」 まりやんの言葉にも一理ある。 何かが変われば賛成、反対は必ず生まれる。影響を受ける人間が多ければ多いほどより顕著に。 「うんうん、やはりわしの目に節穴はなかった」 完全無関係なハズの変なご老人は腕組みしながら一人で何かを納得していた。 「……課金アイテムに関しては破損率ちょっと下げるべきかもな」 それを聞かなかったことにした蒼馬。 「それだと非課金組に不満溜まるじゃないの」 まりやんの理念としてはユーザーは出来るだけ平等に扱いたい、というのがあるようだ。 「でも差別化しないと課金する意味が」 「だまらっしゃい!」 ペッパーズが喋ってる途中、彼にデコピンが打ち込まれた。 「痛いっ」 「まりやん……暴力に訴えるんじゃない」 「そんなひ弱な根性じゃうちら怪対のメンバーは務まらないわ」 人目も憚らず、まりやんは高笑いをあげた。おほほほほ、と。 跡残ってないですか、と必死な顔できいてくるペッパーズに蒼馬は曖昧に頷いた。 ……実はちょっと赤く残ってたが。 「よし! やはり君らに決めた!」 老人は決めたらしい。 「は?」 「決めたの?」 「何がですか?」 三者三様の反応に老人が答える。 「君らは今日からネガティブ戦隊ゴミレンジャー」 親指をグッと突きだしていたが答えにはなってなかった。 「いやいや、意味わからん」 「なんなの? それ特撮ヒーロー?」 「名前はなんとかならないんですか?」 三人の疑問を軽く受け流し、老人は勝手に説明しだした。 「なぁに、最初から地球の平和とか大それたことは言わん。とりあえずこの街の平和を守りなそい」 「また『そい』って言った……」 「それって警察の仕事じゃないの?」 「でも仕事中は出れませんよ?」 その時、アイスカプチーノ二つが運ばれてきた。image=408043646.jpg
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