第一話:正義の味方になりなそい

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「実際にはどういった活動をするんですか?」 へこんでる変なジジイの機嫌を取るように、ペッパーズは優しく問い掛けた。 「まぁまずは……ほれ」 少々元気を無くした老人はポケットから三枚のカードを取り出し、三人の前に一枚ずつ並べた。 「なにこれ、クオカード?」 「いや、どっちかっていうとテレカじゃないか?」 「むしろカードダスですね」 それぞれの感想の通り、名刺サイズ。 材質は不明だが、紙でもプラスチックでもない。 そしてカードの表、中央のやや上部にスクラッチ用にも見える銀色があった。 「その銀色に人差し指を押し付けるのじゃ」 じーちゃんの命令に何の疑問も持たずに三人は言われた通り指を押し付けた。 「……なんも起きん」 三人を代表して蒼馬が呟く。 しかし、じいさんは首を横に振る。 「ソレはもう君達専用の変身アイテムだから絶対なくさないように」 言いながらコーヒーを啜る。 文句垂れてたくせに、である。 「でもなんにも変化ないしカードの見た目も全部同じよ?」 コーヒーを持ち上げたままの老人は、右手の人差し指でまりやんのカードを差した。 「裏返してみ」 「なんかピンクだね」 まりやんの言葉通り、ただただピンクだった。 文字も模様もなんにもない、まじりっけ無しのピンク。 「ちなみに他の二人は全然違う色が出とるハズじゃ」 慌てて確認する男二人。 「オレは青ですね」 「黒……真っ黒だ」 ペッパーズのカードは青。 蒼馬のカードは黒だった。 「へぇ、心の色が出てくるのね?」 「ちょい待て、オレの心は真っ黒か!?」「オレは爽やかな青で満足です」 なにやらテンションが上がってきた模様。 じいさんは考えごとをしていた。 そんなことは気にもせず。 「だって藤原パチスロばっか行くじゃん」 「パチスロは黒いのか!? それならまりやんはキャバクラかなんかじゃねーのか?」 「なんだとー? あたしはキャバクラで働いたことないわよっ」 「オレはキャバクラ行ったことありますよ。あとパチンコも行きますけど」 「なら逆に無難な色のほうがダメってことじゃね?」 「そうかも。ペパが一番無難って時点で気づくべきだったわ」 「なんでそうなるんですか!? こうなったらおじいさんに真相を聞きましょう!」 「ペパくん……そんな必死にならなくても」 というわけで各自の色にどんな理由があるのか聞いてみることになった。image=408043660.jpg
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