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「ほれ、おまえさんたちも早くダストアップじゃ」
ゴミレンになることをダストアップというらしい。
いまいち微妙な響きである。
「ペパくん……それ、どんな感じ?」
「今の私はペッパーズではなくゴミブルーだ!」
ペッパーズには既にゴミレンジャーとしての自覚が芽生えていた。
しかもなぜか声が体育会系寄りになっている。
「さぁ、ブラック隊員とピンク隊員もすぐにダストアップするんだ!」
キャラが変わったペッパーズもといゴミブルーの言葉に、蒼馬とまりやんが互いの顔を見合わせる。
……それにしてもこのブルー、ノリノリである。
「まりやん、どうする?」
「……仕方ないべさ」
同時にため息をついた二人はカードの裏を左の手の甲に当てた。
シャキーン
さきほどと同じ光、同じ音を発して二人のダストアップが完了。
ブラックとピンクがブルーと違う部分といえば基調とする色くらいであった。
その名の示す通りブラックは黒、ピンクは桃色。
「……一つ、わかったことがある」
ブラック隊員は静かに語りだした。
「……ペパくんはちょっとテンション上がりすぎだな」
「すごく同感」
別にゴミレンに変身したからといって内面に干渉を受けるというわけではないらしい。
それはこの二人が普段と変わらないことからも容易に判断がついた。
「でもね……」
ピンク隊員がブルー隊員を見据える。
「いつものペパよりはカッコイイぜ!」
ブルーの肩を叩き、彼を鼓舞した。
少し照れ臭そうなブルーと微笑ましく二人を見守るブラック。
「しもた!」
そしてその光景をブレイクするご老人。
もちろん三人の注目は奇抜な格好したお年寄りに集中する。
「レーダー持ってくるの忘れた! すまんがちょっと待ってなそい」
老人はタクシーを呼んでどっかに行ってしまった。
「おい、まさかの放置プレーか?」
ブラックは怪訝な表情をしたが、ヘルメットのせいでそれは周囲に伝わらない。
「ブラック隊員、レーダーがあれば恐らくハイエナ団の位置がわかる。あとは我々が戦うだけだ」
ブルーはやっぱりちょっとカッコよかった。
「でもおじいちゃん戻って来るまで暇よね~」
腰に手を当てるピンクだったが、その一言が状況を打破することになる。
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