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「また飲んできた。」と、私に怒られてしまうから黙っているだけなんだと、何度も自分に言い聞かせた。
飲みに行っていたんだとしても女がいたとは限らないだとか、自分の都合のいい方へいい方へと考えれば考えるほど、私は迷路へ迷い込むような錯覚に陥る事となり、毎日笑顔でいるのが苦痛で仕方ない。
そんな生活の中でも、一つだけ安心できる時間が私にもある。
どんな時もベッドに入る時は必ず同じで、寝る時だけは後ろから抱きしめてくれたから、その瞬間だけは不思議と胸に秘めている不安は軽減した。
後一つ、私の病んだ心を軽くするもの。それは、薬指の指輪。
これが私にとっての一番の特効薬だった。
それなのに。
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