第一章 -side ヒロト-

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「ヒロト!お前遅刻。」 仕事の同僚からかかってきた電話で、俺のテンションは更に奈落の底へと急降下する事となった。 電話の後ろでは、親方の機嫌の悪そうな声が聞こえる。 それもそうだ、11月に入ってから遅刻の回数は3回目。 1回目は「次は気をつけろよ。」と頭を小突かれ、2回目は「仕事をなめるな。」と説教され、今回3回目…、一体親方の怒りはどこまで上り詰めているのか。 怖いもの知らずの俺でも思わず身震いが出る。 通話が途切れた後、作業着のまま眠りについていた俺はぼさぼさの頭で家を飛び出した。
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