~序章~『稲と鈴乃』

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あたいの名は、『稲』。 父ちゃん、母ちゃん、幼馴染みの清作と、貧しくも楽しい暮らしをしていた。 生活は決して楽ではなかったが、それでも幸せだった。 そう思っていたのは、あたいだけだったのだろうか? あたいは、十の時に吉原に売られた。 白い飯が、腹一杯食べられると聞かされて、訳も分からず連れて来られた。 あたいの今の名は、『鈴乃』。
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