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「そこの女郎。」
「……あちきでありんすか?」
「あぁ。買ってやる。」
「…ありがとうござりんす。」
あちきはいつものように、顔見せに出てお客をとる。
多くの男達が、一夜の夢を買いに吉原へやって来る。あちき達女郎が、男達の欲を満たすために体を売るのだ。
女郎になんてなるもんじゃない。
でも、あちきらはなりたくてなったんじゃない。
吉原にいる女郎のほとんどは、売られてきた女達だ。
ここにいる限り、客をとらないと生きる術はない。
吉原を出ることも許されない。
そう、女郎達はかごの鳥。
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