558人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで言ってくれなかったんだよ!?」
僕は何も答えなかった。
志紀の大きな瞳には涙がたまっていた。
僕は、酷い事をしてしまったの?
大切な弟を泣かせたのはこれが最初で最後。
「なんっ、で‥‥‥!!」
志紀は泣いていた。
いつも堂々としている志紀が小さく俯いて泣き声をあげている。
「‥‥‥ごめん、ね」
謝ることしかできない僕。
公立という選択肢は僕の中から完全に消えていた。
ごめん。
ごめんね、志紀。
その日を境に志紀とは話していない。
僕が行く学校は全寮制だったし、志紀は僕を避けていた。
¨
最初のコメントを投稿しよう!