~木曜日の嘘~

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……次の木曜日…… 「こんばんはっ」 奇跡的。今日は上手く言えた。 「いらっしゃい」 篤軌さんはいつも通り、穏やかで優しい笑顔。 「…あ」 篤軌さんに一瞬見とれてから、覗きこんだショーケースは、からっぽだった 「ごめん。つい、さっき、売り切れちゃった」 篤軌さんが肩をすくめる。 「じゃあ…」 ガムを、 いいかけたところに 「これ、食べてみて」 篤軌さんが、銀色のトレイに盛られたキツネ色の揚げ物を差し出した。 「新作なんだけど。試食してくれないかな」 .
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