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「あ、…おいしい、です」
「そう?何かあったら言って。じゃないと、試食の意味ないから」
「…うーん。でも、本当に、おいしいから」
「本当?なら、良かった」
嬉しそうに目を細める篤軌さんが
あまりに眩しくて。
…まともに見られなかった。
「彼女さんにも、食べさせてあげたら。きっと喜びますよ」
「うん。そうだね。そうする」
…わたしって、馬鹿?
わざわざ、自分に追い討ちかけて。
「ごちそうさまでしたっ」
その場を逃げたい一心で、
がばっとお辞儀をひとつして踵を返した。
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