第弐章~超英雄~

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…………………。 まだ、あの男が、一人で狩りをしていた時の話……。 「……。」 広大な大地と、果てしなき空が広がる森丘フィールド。 当たり前のように龍が飛び交い、モンスターは地を跳ねる。 だが、それも……この男が、森丘地方に足を踏み込んだ時、唐突にその野性感からか。 目立たぬように身を潜め、或いは翼を畳む。 たかが、人間一人の気迫・覇気を、野性のモンスターが、恐れているのだ。 信じがたい……が、事実は事実。 男の装備は、かの覇龍の装備に近い装備であった。 武器は……見たことすらない。 「……。」 男が、川の付近にあった岩に腰かける。 殺意や、まがまがしいような気迫はない。 ただ、不思議なことに、モンスター達は男の存在に気づき、逃げたというのに、空を自由、孤高に舞う鳥、小動物は普通にしている。 男の年齢は、だいたい25過ぎくらいだろうか。 金髪、ストレートだが、前の方で左右にわけてあり、後ろで髪をまとめてある。 この年齢で、老けている………訳ではないが、威厳というか……カリスマに満ち溢れている、と言ったほうが正しい。 人々を魅力するような、そんな感じだ。 男が、暫しの休息、というか集中を終える。 岩から立ち上がり……普通に、そう、あくまで普通に歩きだす。 …………。男が去り、暫しの間の後。 …………パキィィィンッ……。 岩が、割れた。 しかも、まっぷたつ。 綺麗に、ヒビや亀裂、ましてや岩を一切砕くことなく、岩が割れた……。 生半可な実力では、岩は砕けちってしまう。 しかも、斬る素振りなど、一切見せなかった。 この男……一体……。 人間のできる業を、極限まで極めし者。 後に……この男は語り継がれる。 超英雄、そして〝八創武〟最強、と。
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