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その男はたった一本の武器を手にしていた。
いや、当然といえば当然、今更言う必要もないのだが、この男を見ていると、武器など必要ないのではないのか?
と感じる。
だが、実際モンスターに対して武器を用いるのは卑怯ではない。
武器を持つことで、ようやく対等になることができる。
モンスターと人間。
モンスター、まして堅い鱗を持つ龍など、生半可な武器では刃すらとおらない。
人間の皮膚はいくら鍛えようとも、限りがある。
だが、この男、有り得ない話ではあるが、武器なくともモンスターを狩れる……そんな、雰囲気があるのだ。
もちろん、不可能なのだが。
森と丘の天候は今日も晴れ晴れとしている。
狩りには絶好の日であるといえるだろう。
煌めく太陽が僅かに眩しく、頬をてらす。
深緑なる森の木々の合間からは、光がほどよく差し込む。
だが、こんな日こそ、モンスターも活性化する。
男はアプケトノスが群がるエリアへと足を運ぶ。
この男の覇気にモンスターは逃げてしまうのでは?
とも感じるが、驚いたことに、男の存在に対して、まったく敵意をしめさないのだ。
だが、さらに驚くべきことは、これからである。
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