第壱章~たった一人の超上決戦~

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灼熱の獄炎が渦巻き、流れる火山地帯。 その火口に近い、通称 [決戦場]。 空は紅く染まる。異様な色の雲。 汗も水滴も一瞬で蒸発するその熱気。 星空ほどの美しさも静けさも皆無なるその殺風景。 ゴツゴツとした大地。 そして、その向こうに現れし………邪悪龍。 伝説の災厄……。 紅く、邪悪そのものを象徴とするほどのまがまがしさ。 一度、逆鱗に触れたならば、命は亡きものと思わねば、死するだろう。 紅いミラボレアス……。紅龍。 防具の名前はミラバルカン。 だが、この災厄の邪龍は、数度現れた、今までの拡散弾や一流のハンターが狩れる程甘くはない。 正真正銘、最強の紅龍。 かの有名な、神ヶ島でさえ、打つ弾丸の全てが、意味をなさず。 滅龍弾と呼ばれる龍を滅する弾でさえ、内部に到達証する前にその鱗、厚い重殻にて弾かれてしまう。 長き尻尾。並の狩人では、振られた尻尾に当たっただけでさえ、ダメージを負う。 そして、紅龍は唄う。 破滅への、序曲となる詩を。 だが、その殺風景なる誰もいないはずの決戦場に、一つの影が現れる。 それは希望と言っても間違いではない。 踏みしめる足元からは、熱気……。クーラードリンクを飲み干していないならば、長くは滞在できないだろう。 暑さへの耐用は出来る。 だが、紅龍の熱さの耐用など、普通は出来ない。 「……。紅龍、失せろ。」 その影は、一つの武器を取り出す……。 独龍剣[蒼鬼]。老山龍でさえ赤子のように震えあがると言われる蒼い刃。 影の装備は……いずれも伝説に近い装備。 破龍の…。 ギルドヒーロー…。 完全なる装備が揃っていた。 そしてそれに感づいた紅き龍。 唸りをあげ、叫び、そしてこちらへと凄まじいまでの速度での飛行……! 普通ならば、かわす。 だが、この男は違う。 「受けて、断つ。」 そのまま男も人間の身体能力とは思えない跳躍を見せて―――――独龍の刃を、繰り出した。 次の瞬間、二つの衝撃が―――――――――――――――交じりあう! それはまさに、戦いの会戦を合図した。 誰も、知らない超上決戦……。
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