第壱章~たった一人の超上決戦~

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「裏世界の英雄:……。」 再び紅龍とむかあう。 並のハンターならば、見ただけで足がすくんでしまうだろう。 だが、新進気鋭なハンターならば、はじめて見る興奮や新鮮さもあるのかもしれない。 辺りは火山活動がさらに活発になる……。 紅龍に反応しているのだれう。 紅龍は再びターン……いや、フェイント、そのままはいずるように狩人のほうへと一直線に向かう。 凄まじい速さ……ガードしても、スキル〝ガード強化〟などがなければかなりのダメージを受けてしまう。 だが、驚くべきは紅龍ではなく……。 「裏世界の英雄:好機。」 狩人だった。この普通ならピンチを、好機、と言いはなったのだ。 百戦錬磨のハンター達とて、このはいずり中は攻撃が限られてしまうというのに。 そして、狩人にせまりくる、紅龍……まさに怒涛。 巨大な身体、そして恐怖としかいいようのない牙、顔。 もうかわす暇は―――――! 狩人が―――――――真っ向から跳んだ!? そして、下がっている紅龍の牙をかわしながら――――――! グチャッッ……………パキィィィンッッ!! 二つの音………。生々しい音にくわえ、渇いた音。 なんだというのだ? だが、狩人は静かに熱おびる大地へと降り立つ。 ……紅龍の………魔眼がっ…!? 潰れている……刃による傷跡。 さらには角が更に折られて……! 馬鹿な、有り得ない。 大剣でフルパワーで叩き付けても、そう簡単にはあの紅角は折れない。 ましてや、あの魔眼は、頑丈という次元ではない。 歴史上でも、魔眼を破壊したものは限られている。 ましてや一人。 しかもこの紅龍の……!? <グギヤヤヤヤァァァァッッ!?!> 悲鳴、叫び。当たり前だ、あの一瞬……この足場のわるい場所で、しかも相手は凄まじい速さ、しかも首から上の顔や頭はかなり振動する。 なのに、牙をかわしながら、渾身の一撃を、二回も放ったのだ。 信じがたいが……。 だが、逆鱗を超えた逆鱗にふれ、かつてないチカラを、紅龍は放つ。 絶望を、放つ。
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