第壱章~たった一人の超上決戦~

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天高くへと舞い上がる紅龍。 その姿は最初とは段違いにダメージを受けているが、恐ろしさには、凶暴さには一片の変化すら見受けられない。 最終攻撃……。 狩人が盾を捨てた、その決意ともいえるべき覚悟、それに反応する紅龍。 災厄とて、卑怯ではない。 「裏世界の英雄:……。」 一週間の疲労や痛みを超えた痛みにより、もう体の感覚は殆ど無い。 しかし、拳にだけは、力を収束。 ボロボロになった防具の無駄な部分は捨てる。 「裏世界の英雄……来い……!」 口から空気を伝わり、その音声は、聞こえるはずがない紅龍の意識を刺激。 紅龍の最後の雄叫び。 ……大量の火炎流星・メテオ。 一週間、毎日……といっても時間の感覚はないが、メテオにより、もう辺りの大地は砕け、原型すら留めていない。 そのメテオ……狩人は見極め……!? 同時に紅龍が――――――――天空!? 超上空から一直線に、流星の如く狩人に襲いかかるその一撃。 くらえばどんなに修練や鍛錬を積んだ者でも即死。 ましてやメテオと同時。 かわすのは絶対に不可能。 「裏世界の英雄:……このごに及んで、かわす気など……はなからありはしない!」 狩人が全身全霊、最後の力を振り絞り、跳躍。 紅龍の速さは尋常ではない。 止まっていても、攻撃をあてるのは絶対に不可能。 たとえ、伝説級のハンターでも。 紅龍が………狩人に! グアァァァァッッッ!!! 紅龍のまがまがしき牙が、狩人を喰い―――――! 「裏世界の英雄:……〝八創武〟を……舐めるな!!」 狩人の目が見開いた。 瞳に宿る、確かな意識。そして意志。 独龍剣・蒼鬼が、紅龍の頭を……脳天から貫いた……。 本来、叫べるはずがない。 しかし、散り様に、 口をあけ、狩人を地へとおとし、 ギャアアァァァァッッッンッッ!!! 最後の断末魔。 紅龍は、その強大さを……最後の最後まで残しながら……死んでいった。 狩人は立ち上がり……独龍の刃を引き抜くとともに、倒れそうになる。 だが、火山のマグマが近くまで……。 数分後には、マグマが、火山・決戦場を飲み込んでいた…………。 誰に知らない、誰にも知られることなき戦い。 だが、この狩人のおかげで、平和は保たれた。 裏世界の英雄の行方は、誰も知らない。
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