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それに私は、もう一点。
気になって居た事がありました。
「うわ、風呂めちゃめちゃ広いよな!」
「……」
主人はすっかりはしゃいで居るように見えました。
が、私は。
「このお風呂、いやだ……トイレも嫌……」
昔、幼い頃に訪れた
母の田舎の、親戚宅の水回り。
夜は怖くてたまらず、極限まで尿意を我慢した、あのトイレ。
何故かそんな過去の出来事が、一瞬でふと戻って来たような。
「このタイルが……なんか陰気で嫌やわぁ……」
青や水色やの寒色系で
一つ一つは石のように丸みがあり、同色系統の砂を散らしたような模様があるタイル。
それらが灰色の目地の中に散りばめられ、一面をモザイク状に敷き詰められたレトロな床。
ちなみにバスタブもまた懐かしい、銀色のステンレス。
……広くて、窓も風呂場にあるまじき大きさな事もあり、時間帯柄陽光もたくさん入って明るいのに。
寒色系と銀色のコントラストが酷く陰気でした。
「あ、水回りリフォームするそうですよ。あとLDKのフローリングも」
もう……どうしてこう、絶妙のタイミングで……。
気が付いたら、その場に不動産屋さんの社長まで来て居て
仮契約も済ませてしまって居ました。
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