田舎から都会へ

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見る物件を次々気に入る主人に、私は内心 『ノーテンキだなぁ』 なんて思う事もしばしばでした。 男性は普段家に居ませんが、子育て中の私にはそう言う訳にも行きません。 周辺の治安だって気にしますし、子供絡みの事件が何件か起こったような土地に子連れで住むのは 土地の方には大変失礼ながら、どうしても嫌だと思ってしまいます。 それに、如何に希望の場所、間取り、家賃であっても 内見してみて、ここは嫌だと思う物件もあります。 その日見に来たのは。 正に私達の希望にドンピシャの立地、間取り、価格のアパートの二階の部屋。 但し、ちょっとした足音でさえ打楽器みたいに響き 子供が見慣れない広い部屋にぴょんぴょん跳ねながらはしゃぐのを、必死に止めたような 私にとって 『ここはナシだな……』 と即座に判断せざるを得なかった部屋でした。 だと言うのに。 「ここいいじゃん!」 などと言った時には、正直主人に対して 「えっ……」 となりました。 何しろまだ只の内見に来ただけなのに、下の部屋の方が妙な笑顔で小走りに出てきて 『下の者ですけど、上に引っ越して来られるんですか!? かなりドンドン音がしたんですけどッ!!』 だとか、迫って来られたと言うのに……。 大人気なくもかなりイラッ……と来てしまった私は 付き添って下さった不動産屋さんの前だと言うのに、強めの口調で断固拒否してしまいした。 _
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