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不覚だった。
その表現は言い直せるなら、迂闊だった、とか、不注意だったとか、そういう語に置き換えられるし、むしろその語の方が適切な表現ではないかと自分でも分かっていた気がする。
ただ今のこの状況にぴったしの言葉はそれしかなかった。
迂闊とか、不注意とか、要は意識は多少なりともしていたのだけれども、それでも気づかない、というのは全く違う。
覚をせず、つまり意識も、記憶にもそんなことを思わせず、意識した瞬間、自分の過ちに気づく。
そう、それが不覚。
この状況を表すとして最もあてになる言葉、それも怖いぐらいに上手くはまってしまう、素晴らしくかつ当意即妙な一語であった。
そう、あまりにも不覚だったのだ。
人生上そのような経験もなしに、しかもこんな切羽詰まった状況の中で、まさかこんなことを、と思うくらい腹立だしくそして何より驚きの一言だった。
センター入試が無事に終わり、1ヶ月が経っている。
しかも2次試験までもうすこししかない。
再度言うけれども、自分にこのような経験はない。
まして経験があったとしても、忙しい中そんなことを考える暇はなかった。
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