Chapter Ⅱ

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「あ、……」 思わずマスターの顔を 見てしまった いつも自分が座る場所が 見知らぬ人に先を越されてたから 「いらっしゃい 今日は先客がいてね… どこ座る?」 「じゃあ… 1つ空けて座ろっかな…」 マスターが椅子を引く なんとなく いつもの場所に近い方がいい 1週間振りに訪れた 行き着けのカフェ『galaxy』で 初めて自分以外のお客を見た 「ご注文は?」 「カフェラテ」 ふと、 1つ空けた先にいる先客を チラリと見やる その瞬間、 時間が止まったーー 「綺麗、」 言ってしまってから はっ、と口を噤む 片方の腕を枕代わりにして こちらに向けられた寝顔 窓から差し込む光が 彼の頬に当たり、 キラキラと輝いて その整った顔立ちを 更に際立たせている 髪型と体型からして 多分、男の人 でも、こんなに綺麗な 男の人っているんだろうか? 投げ出された腕から伸びる 長い指先 頬に影をおとす 黒く染まった前髪 長い睫 すらりと伸びた鼻筋 紅く染まった唇 どれをとっても 綺麗としか言いようがない .
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