Chapter Ⅱ

3/10
前へ
/262ページ
次へ
カタリ、と マスターの置いた カフェラテの音で我に返った 「はい、どうぞ 彼、珈琲飲んで寝ちゃったんだよ」 「睡眠薬でも入れた?」 「…そんな物騒なものウチには有りません 裏に戻るけど、用事あったら呼んでくれて構わないから」 「お客来たらどうすんの」 「平日の昼間なんて誰も来ないよ」 マスターはヒラヒラと手を振って奥に行ってしまった 現に、お客いるんだけど… 軽くため息をつきながら 再び彼の寝顔を盗み見る やっぱり、綺麗 初めて人を綺麗なんて思った 余りにも自分とは 違いすぎて 視線を逸らすことが 出来なかった 「あ、砂糖ない…」 マスターを呼ぼうかと思ったけど、彼が起きてしまうような気がして思い止まる 「しょうがない…」 自分で取るか… 反対側に行って、いつもマスターが砂糖を取り出す棚に手を伸ばすが、お目当ての瓶にはあと少しの所で届かない 「も、ちょっと…」 マスター、僕が好きな砂糖は知ってる筈なんだけどな 何度手を伸ばしても あとちょっとの距離は縮まらない 「……これ?」 .
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加