Chapter Ⅱ

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「呼んだんだから、こっち見てよ…?」 なんでそんな カッコいいセリフを さらっと言えるんだろ? 優しい声に 不覚にもドキッとしてしまったついでに、次の新作の主人公に言わせてみようかと思った 「やっと目、合わせてくれた… あ、それと敬語もいらないから ……よろしくな、とも」 「よろし、く……」 差し出された右手に ゆっくりと自分の右手を重ねた れーくんの手は 僕の手より ずっとずっと大きい ーーーピロロン… れーくんが 慌てて鞄を探り始める 変わった着信音だな 「言っとくけど これ、俺が設定したやつじゃないから」 あ、そうなんだ ーーはい、 電話に出たれーくんが また慌て始めた 「わかってるって!! すぐ行くから …は?彼女?そんな暇ねーよ」 ちょっとだけ ほんのちょっとだけ 胸の奥がドクン、と波打った なんで? 「とも? 俺、もう行かないといけなくなった。明後日来たら連絡して?待ってるから」 待ってるからーー 「う、ん…」 れーくんの言葉に 勝手に振り回されてる それは2人だけの 『特別』な呼び方が 影響してるんだと思う きっとこんなに 『特別』に酔いしれてるのは 僕だけ…
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