Chapter Ⅱ

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「マスター、います?」 僕の横を スルリと通り過ぎた 奥から出てきたマスターと 会話を交わして 楽しそうに笑っている 「また来ます」 「いつでもどうぞ」 急にぐるりと回った 止まった目の前には しゃがみこんで僕と同じ目線になったれーくんがいた 距離が近すぎて怖い 「とも、参考になると思うからさ、絶対来いよ」 そんなにキラキラした笑顔で言われたら うん、としか言えないよ とりあえず この距離間を解消したくて 首を縦に振った れーくんは 満足そうに頷いて galaxyを出て行った 「大丈夫だった?」 「う、ん」 僕が人との距離が近いのは苦手なのをマスターは知っている 昔からお世話になってるマスターでも一歩引いてしまうほど 「びっくりしたよ 彼と会話してんだもん」 「僕もびっくりした」 水が入ったコップが カウンターに置かれる 「薬、飲めよ」 また忘れてた 「早く 手、震えてるから」 とっさに 自分の手を見たら 自分の意志に反して 微かに震えていた 「ほんとだ… ありがとう」 「ほんとだって 感覚ないの?ちょっ、」 「大丈夫だよ」 もう兄貴みたいな存在になってしまったマスターに笑いかけた
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