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言わなきゃ良かったと後悔している。
人の思い込みとは、なんと恐ろしいのだろうか。
悩みの種は父親だ。
あのあまりにも冴えない父親が、とにかく癇に障るのである。
チビで、デブで、うだつの上がらない万年平社員。
八の字眉毛で、今にも泣きそうな顔をしていて、いつもヨレヨレのスーツを着ている。
極めつけは、出来の悪いバーコードの様なハゲ頭。
全身に冴えない男の勲章をぶら下げた様な、中年男。
それが天海夕夏(ゆか)の父、並平(なみへい)である。
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