僕の小さなロウソク

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翌日、不眠のことを医者に相談してみた。 「ストレスではないでしょうか。安定剤を出しますので、寝る前に飲んでください。」 だがその夜も、眠れなかった。頭の中は、色々なことへの不安でいっぱいだった。 人間、精神的に追い込まれると、とことんマイナス思考になるようだ。 悪循環だった。 「もし、有村さんがよければ、紹介状を書きましょうか。」 次の日、医者が市内の有名な心療内科を紹介してくれるというので、安眠できるのなら、と、それを書いてもらった。 また眠れない夜を、なんとか乗り越えた。空が白んで、看護師の声が賑やかになるにつれ、朝がやっときたのだと、ホッとした。 その朝、結局、予定より延びた入院生活を終え、退院し、紹介された心療内科のある総合病院までタクシーで向かった。 「いいですか、一本の火の点いたロウソクを想像してください。」
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