白と、灰色のまち

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母は市内に僕の妹と二人暮らしだ。その家に、久しぶりに戻った。 妹はいなかったが。 居間に置いてある座布団に腰掛けると、母が温かいお茶を出してくれた。 一口、ゆっくり飲んだ。喉を温かいお茶が、とても静かに伝った。体が温まるのがよくわかった。 このお茶と、母との何気ない会話は、僕の真っ黒なロウソクを少し短くしてくれた気がした。 その時だった。 凄まじい振動が、窓ガラスを揺らした。ガラスが割れてこちらに飛んでくるかと思った。 思わず、身構えていた。 地震かと思い、テレビをつけてみた。しばらくして、その巨大な振動の原因がわかった。 火山、噴火。
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