白と、灰色のまち

3/9
前へ
/32ページ
次へ
「ものすごい噴煙です!!」 どのチャンネルにかえても、その様子をうつしていた。 窓ガラスを揺らしたのは、『空震』というものだった。火山の噴火によって、大気が揺れ、それが衝撃を窓ガラスに与えた、という仕組みだ。 ここから数十キロも離れている、姿さえ見えないその山の噴火が、まさかここまで衝撃を伝えるとは、正直、信じられなかった。 噴火した山は、高校時代に登山遠足で一度、登ったことがある。 噴火するようなイメージはまったくなく、むしろおとなしそうな、横にだだっ広い山頂だった。その山が噴火した、というのだ。 「な、なんやろか!?」 母が取り乱していた。 テレビでは、噴火したその様子を伝えていた。その様子に思わず息を呑んだ。 山頂から、黒い噴煙が隆々と立ち上っていた。それは、とどまることを知らず、永遠と噴き上げるように見えた。 テレビに釘付けだった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加