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噴火は、そこまで大きな被害はださなかった。溶岩がドロドロ流れて、家を飲み込むとか、そんな被害は、何も。
ただ一つ厄介な、いや、大変厄介な被害がでた。噴火による降灰である。
小刻みに何度も噴火したため、その山の南に位置する都城市街地に、幾度となく灰を降らせた。
サラサラの灰が舞い上がり、視界を覆う。
『灰色の霧』という具合だ。
町を走る車は灰まみれ、もともと何色の車なのか、見分けもつかない。
全ての車が灰色だった。
国道や県道に伸びる白い中央線も、灰の影響で全くわからなかった。
どこからどこまでが対向車線なのかが、わからない。
噴火した山は、夏尾町にとても近かった。
なんとなく、祖母の墓が気になった。
母の、ドライブの助言を思い出し、祖母の墓の見回りがてら、やっぱり僕は、夏尾町に車で向かうことにした。
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