白と、灰色のまち

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心配した母にとめられたが、 「大丈夫やから。すぐ帰ってくるし、もしかしたら途中で通行止めになってるかもしれん。そんときは引き返すから。」 と、僕が言うと、 「一緒に行けたらいいんだけど、これからお母さん用があるし・・・まぁ、気をつけていってきなさいね。」 と、母は納得し、車を貸してくれた。自分の車は、僕が倒れたときから会社に置かせてもらっているためだ。 「じゃ、いってくる。」 一旦、自分のアパートまで向かい、着替えてから、夏尾町に車を走らせた。 市街地をぬけて、30分ほど。信号はほとんどなく、一本道だ。 やはり灰の影響は相当で、道路のラインはまったく見えない。 スピードを落とし、安全運転。 途中、前を走る車が巻き上げた灰が、僕の車の視界を完全に奪っていた。
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